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​這って泳いだひとの道

十三月、辛-幸福論
理想脱線

どうか願い事を聞いて ただ幸せになりたいだけで

こんな世界から連れ出して

命に期限を設けたせいです 愛を詭弁に誰かが儲けて

知らない誰かの「死」には、知りません そうでしょ?

 

争いが起こらぬように 口や手足は必要ないだろう

両耳、目鼻も要らないよ

傷つく言葉聞きたくないし 匂いが思い出を見せないように

イエスに背いて、残すのは脳だけです

 

そうだ 感情も 減らそう 喜怒哀楽を少し引いた

度合いはずっと気楽だろう 幸せだろ?

 

望んでいた世界 (嗚呼 捨てたらもう生きれない)

痛みも苦しみも死も訪れない 努力も成功もない

個性も性別も必要ないよ 幸せだ、幸せだ そうだろ?

これが望んだ正解だ 完璧な世界

ひとつわからない この難題 知りたいんだ

「愛」とはなんだい?

 

桜舞う空を見て涙を流してた 花火の煙は胸を締め付ける

踏み締める落ち葉の音 寒さに握る体温

息継ぎも無い程交わした口づけも

 

愛していたみたい 憎んでいた世界

忘れてしまってた程に 忘れたくないものばかりだった

亡くそうとしたのは心でした

 

愛していた世界 (嗚呼 抱えたまま生きてく)

終わりも不条理も嘘も転がってた

生きていく事は辛いよ 増えていく傷が痛いよ

だけど しあわせだ、死ぬまでは生きていたい

「ここは不正解 死を欠いた盲目な世界

四季を愛してたい 死を買いたい 死と相対」

こんな詩を書いた

 

そうだ愛とは何なんだ? 誰が教えてくれたんだっけな

もうすぐ終わりの13月

何だか会いたい人がいる 悲しくもある世界で笑う

未だわからない事ばかりだけど 幸せだ

鳴りを潜めた夜の街 無人工事現場

土砂で汚れた脚で歩いていく

軽く吐いた息は いつの間にか白くなってた

今日が終わってく


狭い部屋に一人きりで 次第に意識が遠のいて 

眠り落ちて現実から切り離されてく 

価値も意味も全て捨て そのまま無くなりゃいいのに 


今日は「今日」 明日は「明日」

僕は「僕」にはなれない 

 

この物語で僕は主役は張れない

上手く生きれない 間違いをまた繰り返す 

それでも世界は無関心でさ ただ心臓が鳴ってるだけ

 

窓の桟に光が漏れてる 厭わしい夜明けを知る 

浮腫んだ顔を引き摺り火をつけている 

長閑(のどか)風が運ぶ 鼻を突いた

雨上がりの 濡れたアスファルト
明日がある方に道定め 歩き疲れて足を止め
台形の空 一面に染まる夕景眺め

今日という日が素晴らしいと 錯覚するのだろう 

 

過去は「過去」 現在(いま)は「現在(いま)」

なのに「僕」にはなれない 

 

この物語の景色は全て灰色

何者にもなれない光るあいつになれない 

それでも季節は巡り巡り ただ新章が始まらない


理想と程遠い 夢に逃げてしまう

管巻く人生 小銭ほどの価値だと笑う
逃げるは恥じゃない 生きたいってことだ

見えるものが 見えないものを隠してしまう 


この世に生を授かった日、 愛の温もりを知る

水のような日常が忘れさせている 

貴方が僕の名を付けたあの日、 誰でもない僕にさせてくれた
憧れが呪いになった日、 外れた道を選び 

何もかも失くして独りだと思ってた 

寂しくて俯いて振り返ると 何も失ってなどいなかった 

 

この物語はいつか終わりが来るだろう 

間違いの日々すら愛しくもなるだろう
今日を転がし 忘れかけた愛を掬いながら

生きていくの

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